アスリートが求めるトレーニングの対極にあると言われるボディビルのトレーニング。
“見かけは立派でも果たして使える筋肉なのか?”
“それとも使えない筋肉なのか?”
このような議論はずっと昔からあり、ボディビルダーが引き合いに出さることが多いですが、アスリートとボディビルでは競技の目的が違うのでトレーニングの内容や身体能力が異なるのは当然ですね。
したがって
「ボディビルダーなんて、見かけだけで全然使えない筋肉だよ」
という表現は全くもってナンセンスですしボディビルダーに対し失礼です。
一般的にボディビルのトレーニングでは筋肉を一個一個より発達させるために、目的する部位にしっかり効かせる動きを多く取り入れています。
なぜなら、競技上より凹凸のある筋肉、身体つきが求められますからね。
一方、レスリング選手も昔から競技力向上のため、トレーニングでは出来るだけ身体を連動させて多関節運動で行うことが望ましいと言われていましたが、
この
“筋肉に効かせる動き”
というのは本当に必要ないのでしょうか?
結論から言うと、アスリートのトレーニングでもボディビルのように効かせなくとも、目的とする筋肉をしっかり意識して動かすというのは非常に大事です。
例えば、スクワットにしても目的とするハムストリングスや大腰筋、内転筋群を意識して使い、リズム良く力を発揮することより、良い動きと大きなパワーにつながります。
実際の競技中は力んだり、筋肉を意識する時間がないから、無意識に動作を行うという考えも出てくるかもしれませんが、このような場合、トレーニング効果が全く出ないばかりか即怪我につながります。
良い意味で “効かせる” というのは、
●正しいスクワットで筋肉を意識して使い良い動きのイメージを作り、実際の競技動作の練習でも同じように筋肉を意識して使い、良い動き、パワフルな動きを身体に覚えさせる。
●グレコローマンの選手が差し押しのパワーを高めるために、スクワットで下半身の筋肉を意識するのと同時に差し押しの練習でその筋肉をより意識して動かす。
この時に筋肉を意識して使わないと、膝や腰などの関節部分に負担が来てすぐにぶっ壊れてしまいます。
要するに目的とする動きを強化するために、トレーニングでも競技練習でも、そのための筋肉をより意識して使うことによって強くなり、良い動きを筋肉が記憶するんですよね。
これが良い意味での“効かせる”=意識するです。
このような作業を積んでいくことにより、怪我をせず、競技動作のパワーアップにつながります。
他にも背中を鍛えるためにデッドリフトやチンニングを行う際にも、競技動作が連動的な動作だからといって単に反動だけで動かそうとすると筋肉が発達しないばかりか、筋力も伸びずに怪我をします。
そもそもカピカピの薄っぺらい背中では、良い動きや大きな連動パワーは生み出せません。
大事なことは、
“目的とする筋肉を意識して力を発揮し、連動的な動作につなげて大きなパワーを生み出せるか?”
そのようにトレーニングを積んでいくと、競技パフォーマンスの向上につながる筋肉の発達と良い動きになります。
レスラーもパワフルな良い動きが出来る選手は、見た目もボディビルとは違った美しさがあります。
でも決して筋肉に効かせるのではなく、意識して鍛えることで何とも言えないギリシャ彫刻のような肉体になりますね。
身体の連動パワーも結局はまずは筋肉から力を発揮するので、必ず筋肉を意識してトレーニングしていきましょう!
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